老後に備える間取りとは
・50年を過ごす場所
ある調査によると、初めてマイホームを購入する「1次取得者」は、注文住宅の場合、30代がおよそ半数を占めます。
次に多いのが40代です。
厚生労働省のまとめによると、2019年時点の日本人の平均寿命は男性が81・41歳、女性が87・45歳。
一定期間後に住み替える人もいるにはいますが、一生に1軒のみ「終の棲家」として住宅を買うと仮定すると、マイホームには50年ほど住む計算になります。
半世紀ともなると、なかなか長いですね。
それだけの長期間を同じ建物内で過ごすのですから、今の感覚だけを重視し、現在の状況で最適なことだけを考慮して家を建てると、老後になって不便な点が出てきそうです。
当然ながら、せっかく注文住宅を建てるのなら、老いてからの生活を意識した間取りの検討を心掛けたいところです。
・住み替え前提もアリ?
老後も過ごしやすい家の条件とは何でしょうか。
年をとることでできなくなることから考えてみたいと思います。
まず、足腰が弱くなりますから、若い頃にスムーズに昇降できた階段をはじめとする段差を越えるのが苦痛になりそう。
杖や車いすを使うようになればなおさらです。
そもそも最近の住宅は無用な段差を減らしていますから、それほど気にする必要はなさそうですが。
もっとも、本気で老後の生活を気にするのなら、住み替えを前提にして初めての住宅を考えてみてもよいかもしれません。
どれだけ頭をひねったところで、将来のことを確定的に予測することはできません。
それならば、いっそのこと、夫婦2人と子ども2人が住む家としての希望条件を挙げ、それに沿う住宅を建ててみてはどうでしょうか。
・割り切って間取り考える
その際は「一生モノ」という感覚がなくなるはずなので、子どもが小さい頃だけ、子どもが独立するまで、と割り切ります。
20年後に2軒目を購入することを前提にして、1軒目は予算を抑え、2軒目は購入を検討する頃に夫婦は働いているかどうか、子どもが同居しているか否か、といった状況に合わせ、その後30年を過ごす家を購入するのもアリかもしれません。